入寮おめでとう。入学式で式辞を述べることになっていますので,簡単な挨拶に留め
させていただきます。
まず,愛光学園の使命についてお話をしておきます。
第1の使命は"高い知的レベルの教育を授けて,社会の要望に応えること"
第2の使命は"高い道義的理念を掲げて,日本と世界に光を与えること"
であります。この二つの使命を達成する上において,「世界的教養人としての深い知性と高い徳性を兼ね備えた愛と光の使徒」を育成すること,これがわが校の教育方針であります。
愛光で行うあらゆる教育の先には,「世界的教養人」,ひいては「愛と光の使徒」が見えていなければならないと考えています。
分かりやすく言うと,しっかり勉学に励み,人間として踏み行うべき正しい道を歩み,日本と世界の人たちのために,慈愛と誠の心を持って,世の光となり,真心を尽くして努力する人を育てたいということです。
さて,寮生活の最大の魅力は「同じ釜の飯を食う」ことだと,わたしは考えています。
同じ釜の飯を食うということは,ただ単に,一緒に食事を共にするということではありません。「共に起き,共に食べ,共に学び,共に遊ぶ」ことを言うのです。そして,皆さんが,共同生活の中で自立心と協調性を養いながら,自分の夢の実現に向けて生活をするということです。
その中で芽生えた友情を育み,一生付き合える友人ができれば,入寮した半分の目的を達成したと言っても過言ではないと思っています。
「教育とは卒業後の思い出なり」という名言がありますが,寮生活が君たちに残してくれる思い出は,一生の思い出として,燦然と輝き続けるものとなることを約束しておきます。
ただ,思い出は自らが動かないと作り上げることはできないのだということも,しっかりと頭の中へ入れておいてください。
思い出が向こうからやってきてくれるわけではないのです。自らが行動することによって,思い出が築かれるのだということを理解して,この愛光の寮でしっかりと思い出作りに挑戦してもらいたいとお願いしておきます。
昨年,ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が「若い人に対してアドバイスをお願いします。」と言われたときに,「興味があることだったら,どんどんやってやり遂げなさい。難しいことがあっても,乗り越えなさい。近頃は,初めっから難しそう,とやらない人がいる。おもしろいことがあったら,難しくてもやる勇気がないと。女の子は割に元気がありますが,男の子はちょっと意気地のない人が多いですね。」と述べています。
愛光の寮生は,そのような意気地なしであってはなりません。何事にもチャレンジする「愛と光の使徒」を目指して頑張ってくれるものと心から期待しています。
ご父母の皆様への挨拶を申し上げます。ご子息を寮に預ける決断をしていただきありがとうございました。寮の職員と寮務部の教員が力を合わせ,夢の実現に向けて進むご子息のお手伝いをさせていただきます。「教育の三位一体」という言葉がありますが,この愛光の丘で,親と子と先生がともに力を出し合い,この教育の三位一体が実現できるよう,ご父母の皆様方のご理解とご協力を心からお願いして,簡単ではありますが,入寮式の挨拶といたします。