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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第255回(救急車に乗った経験と乗せられた経験(2))

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(先週の続きです。)

 

K先生が打席に入った。ショートフライを打つだろうとわたしは予想していた。見事に予想が的中してショートフライがあがった。少し自分が構えていた位置よりも後にフライがあがったので,バックしてグラブを構えた。ここまでは記憶にあるのだが,これ以降,保健室で目を覚ますまで記憶がないのである。

試合を見ていた先生によると,グラブを構えてからグラウンドに倒れ,頭を打ったとのことである。

保健室で気がついたわたしは,「自分は何をしていたのですか。どうしてここにいるのですか。」というような質問をしたそうである。これを聞いた養護教諭が病院に運んだほうがよいということになり,救急車に乗せられることになったのである。

救急車の中では意識がはっきりしていたので,横になってサイレンの音を聞きながら,「これで教員になってからの皆勤が消えてしまうなあ。」ということだけが頭に思い浮かんだのを覚えている。

病院には英語科のN先生が付き添ってくださり,わたしの家族の到着を待ってくださった。CTの検査では異常がないということであったが,念のため入院ということになった。

当日使用したシューズが小さすぎて,足をあまりにも締め付けたために,血液の循環が悪くなり,突発性脳梗塞を起こしたのではないかと思っている。

翌日,病院から,このまま入院し,しばらく様子を見るようにと勧められたが,「午後には学校に出勤したいので,退院させてほしい。」とお願いしたところ,認めてくださった。そのときに,「わたしは教職についてから,病気で学校を休んだことは1日もありません。もし,今日,休んでしまうとその記録が途絶えてしまうので,何とか退院させてほしいのです。」と言ったと記憶している。

医者にあきれたような顔をされたが,その当時のわたしにとっては,この記録だけは持ち続けたいという気持ちが非常に強かったのである。おかげで,その記録は今も続いており,数えてみると40年と2カ月が経過しようとしている。

宿命は変えることはできないけれども,運命は自らが切り開くことができる。「続いてこそ道」という言葉を実践することは,自分の運命を切り開く道であると信じ,今後も,この信条を大切にしたいと考えている。


2013年1月

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