昼食後,きちんと掃除をし,帰り支度を始めたのですが,いっこうに雨が止む様子がありません。興居島中学から港までは,2キロ半の道のりがあります。かなりの雨の中,中1生を歩かせるのは苛酷であると思われたので,興居島中学の職員室に出かけて行って,電話を貸してほしいとお願いをしました。現在のように携帯電話があれば,そのようなことをする必要もないのですが,当時の電話は据え置き型のものしかありませんでした。電話を借りて船会社に電話をし,船を興居島中学の前の港に回してほしいとお願いをしたのです。実は興居島中学の正門から50メートルのところに,夏の海水浴シーズンに利用する港があったのです。
船会社に勤務していた,わたしと同級生の事務職員が船長と相談をしてから返事をするということで,しばらく待っていたところ,船長の決断で,興居島中学の前にある桟橋に船を回してくださることになりました。
船が港に到着したとき,生徒たちは歓声を上げながら乗船したのですが,その光景はいまだにわたしの記憶に残っています。
乗船すると顔見知りの人たちが客席にいたので,「皆さんの時間を遅らせて誠に申し訳ない。」と述べたところ,快く受け入れてくださったのです。
このときほど,興居島に生まれたことを誇りに思ったことはありません。
船長は200名の中1生が雨の中を歩く姿を想像し,決断をしてくださったのだと思います。本当にありがたいことでした。
最後に,52期高3生の皆さん,センター試験まであと48日です。以前にも申し上げましたが,入試では奇跡は起こりません。やっただけが返ってくるのだということを,忘れないで,この後の一層の努力を続けてもらいたいと思います。現役生は,これから,まだまだ伸びるのです。そして,最後の最後まで強いチャレンジの気持ちを忘れないでください。
皆さんの合格は全愛光生と全愛光教職員の喜びであります。センター試験に向けて頑張ってください。
高2以下の皆さん,皆さんもいずれ受験の時期を迎えます。今,どうも調子がよくないと思う皆さんは,本気になって3か月努力してください。それでも駄目なら,もう3か月努力を続けてください。今までの自分と異なる自分を発見できれば,必ず結果が出ます。先日の中・高のクラスマッチでも触れましたが,大リーグシアトルマリナーズのイチロー選手は,「小さいことを重ねることがとんでもないところへ行く唯一つの道」と述べています。わたしは,「続いてこそ道」と言ってきましたが,学問道もやはり続けなければ結果は出ないのです。
そして,この若い時期にこそ勉学に燃えてもらいたいと申し上げて,2学期の終業式の挨拶といたします。