もう一つ,わたしが本校に着任したときに予言(?)したことがある。それは,教員が10年後に忙しくなるということである。
東京の学校から愛光学園に移ったとき,最も驚いたことは持ち時間の少なさであった。
前任校では,週に英語の持ち時間が20時限あり,さらに,男子体育,女子体育の時間(部活動に近い)の指導があり,週に24時限,1日平均4時限を担当した。わたしの場合は,この上に塾(寮)の舎監勤務があったので,学校が休みになるという感覚は全くなかった。
33年前に愛光に赴任して,週の持ち時間が16時限であると聞いて驚いた。4時限の授業日が4日あるので,1週間に2日間は授業のない日があるのだ。しかも,当時,部活動は活発ではなかったので,4時になると,教員も生徒も学校に残っていなかったように記憶している。もちろん,そのおかげで空き時間ができたので,チュータブックなどの自作の副教材を作成するなどの有効な活用ができて有難かったと考えているが,これがいつまでも続くとは思えなかった。
予想通り10年後,教員の仕事は倍増した。わたしにとっては,以前の状態に近づいたと言ったほうが適切かも知れない。そして30年後の現在,教員の仕事量は当時の3倍になっていると感じている。
教員の持つプレッシャー,特に進学校であると自認する学校の教員のプレッシャーは大変なものである。わたしは6度,高3生を担任として送り出したが,1度だけ,自分の思うような英語の成績を出せなかった学年があった。このときの気持ちは,自分に責任があるということがよく分かっているがゆえに,大きなプレッシャーとして自分の心に覆いかぶさった。その屈辱感を次に担当する学年指導の活力として生かしはしたが,1年間はその屈辱感を振り払うことができなかった。
教員の仕事には,これでよいという行き着く地点などはない。心を込めて工夫を凝らし,自らも充実感を味わいながら生徒と共に道を歩む,そのたゆまぬ努力の先に素晴らしい結果が待っているのである。
もう一つ,予言(?)していたことがある。わたしは何十年も前からガソリン車から電気自動車に変わる時代がやってくるということを予想していた。この実現はわたしの予想よりも遅れている。
ハイブリッドはもう時代遅れだと言ったら,叱られるかもしれないが,わたしの頭の中では,ガソリン車とハイブリッド車の時代は終わり,電気自動車が台頭する時代に変わりつつあると,いささか勝手な意見を述べて今回のひとりごとを閉じたい。