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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第333回(地区別懇談会(福山) 13-1区)

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地区別懇談会で久しぶりに福山に出かけることになった。開催場所はニューキャッスルホテルで駅から徒歩数分の至便な所にある。

本校から5名の教員が出席した。

 最初に通された控え室が「かつら」の間で,次に案内された懇談会の会場は「光耀」の間であった。「何となく,わたしになじんだ会場だなあ。」と思いながら,挨拶の冒頭にそのことに触れると,ご父母は笑みを浮かべて応じてくれた。

 わたしは,どこの地区別懇談会でも,話は「建学の精神」から入る。

 校長の責務として,教職員,そしてご父母に建学の精神をしっかりとお伝えしたいからである。

 全体会と分科会が順調に終わり,懇親会が始まった。この会の最後に教員のスピーチをお願いしたいという要請があった。

 スピーチのタイトルは「自分が大切にしているもの」ということで,それぞれの教員の話がスタートした。聞いていて,なるほどと思える話が続いた。

 最後に,わたしのところに順番が回ってきた。

 わたしは「自分が大切にしなければならないもの」というタイトルに変更させていただいて,話をした。

わたしが大切にしなければならないものは,「生徒」と「教職員」と「われらの信条」であり,さらに,「日本が発展途上国であった時代」であると付け加えた。

 最初の三つは改めて説明するまでもないが,「日本が発展途上国であった時代」であると述べた理由は次のとおりである。

 わたしの世代は,日本が発展途上国であった時代を経験している。その時代を大切にするというのは,その時代に戻れと言っているのではない。

 五右衛門風呂やドラム缶の風呂に入り,食べるものもろくになかった貧しい時代を忘れてはいけないと言っているのである。「お風呂が沸きました。」という女性のやさしい声にわたしが,「ご苦労さま。」と声をかけるのは,恵まれた生活になったことへの感謝を忘れないためである。お風呂に入ったとき,あるいは食事のときに,自然に手を合わせて「もったいない」と声が出るその感覚をいつまでも大切にしたいのである。

 恵まれた生活に慣れてしまって,それがあたりまえになってしまってはいけないと自分に言い聞かせるには,このような工夫が一番だとわたしは考えている。

 今の生徒には,昔の時代を感覚としては理解できないが,恵まれている時代に生きているということが,いかに有難いことかということを理解してもらわねばならない。それは親や教師にしか教えることが出来ないのである。

 そして恵まれた者としての責務を果たしていくことの大切さを教え込まなければならない。それが心底から理解できたときに初めて,「愛と光の使徒」に近づいたと言えるのではないだろうか。

 

 1学期の「チュータのひとりごと」は今回で終わりです。2学期は9月4日()に開始いたします。


2013年1月

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