今年の4月から本校は「愛媛県私立中学高等学校連合会」の会長校を務めている。呼称を短縮して「私中高連」と言うが,この連合会が出席を要請される会議がいくつかある。わたしは,できるだけ,このような会議に出かけることにしている。もちろん,出席の義務もあると考えているのだが,義務的に出席しているというよりも,会議に出席すると,毎回,知り合いとなる人物が増えることが楽しみで出席していると言ってよい。
校長に就任してから,この8月で6年目を迎えることになるが,この5年間に,学校の外で,多くの知り合いを得た。そして,その多くの知人から数々のアドバイスやサポートを受けたことを考えると,会議に出かける時に,今日はどのような人物と出会えるのだろうかと勇んだ気持ちになる。
ところで,会議の服装であるが,案内の文面に「会議はノーネクタイで行いますので,ご協力ください。」とか,「ノーネクタイ,ノー上着でお願いします。」と書かれているケースがある。公的機関が関係している会議の時は,このことに触れていることが多い。
最近,クールビズとかスーパークールビズという言葉をよく耳にする。省エネルギー推進のための方策であるから結構なことだとは思いながらも,クールビズで困ることがある。
わたしは,その日の仕事内容によって,着用する背広とネクタイを選ぶが,背広とネクタイを選ぶのに,数秒とかからない。しかし,クールビズと指定された会議に出席するときには,どのように対応しようかと迷ってしまうのである。仕方がないので,会議場に入る直前にネクタイを外し,上着を脱ぐ。ただ,上着を脱いだ時に,ワイシャツに何らかの工夫が必要なのではと考えてしまうのである。普通の白のワイシャツのままでは,何となくだらしなく見えてしまうと思うのは,わたしだけだろうか。
つまり,クールビズには,クールビズ用のワイシャツが必要であるという思いに至るのである。たとえば,ボタンダウンで目立たぬアクセントがあるといった工夫を要求されているような気がする。すると,新たなるワイシャツを購入せねばならないということになるではないか。実際,ワイシャツを扱う店に入ると,クールビズ用(?)のワイシャツが並んでいる。
結局,余分なワイシャツを用意しなければならないことになる。何となくもったいないという気持ちになるのは,自分だけなのだろうと思いつつ,まだ,クールビズ用のワイシャツを購入するには至っていない。
実は,わたしは生徒の授業では,常にネクタイを着用することにしている。ネクタイには次のような思い出があるからだ。
わたしが,本校に赴任したのは36年前である。当時の校長は初代校長田中忠夫先生であった。本校に赴任した直後に,田中忠夫先生から,「先生,ネクタイを続けてください。お願いしますよ。」という言葉をかけていただいた。
教員が生徒の前でネクタイをすることは当り前のことだと思っていたので,なぜ,そのようなことをおっしゃったのか,今でもよく分かっていない。そう言えば,当時,ネクタイを着用している先生が少なかったことが記憶にある。
わたしは今も,どのような暑さの中であっても生徒の前ではネクタイを外さない。初代校長田中忠夫先生との思い出を大切にしたいというただ一つの思いからである。
そういうわけで,今日も,わたしはネクタイを着用して学校に出かけている。