今年の最も大きな行事の一つ,愛光学園創立60周年記念式典及び祝賀会を,海外,国内から来賓をお招きして盛大に挙行できたことは,関係者一同,この上なくうれしく,ありがたいことと感謝している。
60周年関係の様々な仕事を担当したのは,主に60周年記念実行委員会の12人のメンバーであるが,その長である中学教頭の一色康孝教諭のご苦労は並大抵なものでなかったことは容易に想像できる。
式典のような大きな行事には,思いがけないことがよく起こるのは,企画をした者であれば誰でも経験のあるところであろう。今回は創立60周年記念式典で自らが起こした失敗について,お詫びを兼ねて皆様に報告をしたいと思う。
わたしの式典での仕事は,式辞を述べることと,最後にハビエル・ゴンザレス管区長様のサプライズの発表のお手伝いをすることであった。
式辞を読んでいる途中で,「われらの信条」について触れた時に,わたしは思わず声が詰まりそうになった。創立当初の神父様や田中忠夫先生をはじめとする教職員が昭和27年,28年ころに,いかなる苦難を味わったかということを,そのころの自分の境遇と合わせて想像してしまったからである。
その後,声が詰まりそうになるのを抑えたのは良かったのだが,式辞の最後まできたときに,何となく式辞の文面から目を離してしまった。そして平成24年10月20日と言わなければならないところを昭和24年と言ってしまった。すぐに気が付いて訂正したが,後の祭りである。
このような改まった席で,頭の中にない言葉が口をついて出るという経験をしたことがなかったので混乱してしまった。しかし,一度出た言葉は,いくら訂正しても元にはもどらない。
原稿にしたためた文章を読むのは昔から苦にならなかった。その自信のようなものが慢心を生んだのであろうと思う。肝心のところは目を離さずにしっかりと最後まで目で追いかけなければならないということを認識した1日であった。
このことで式典の雰囲気に少なからず影響を与えたことを大変恥ずかしく思っており,ホームページの紙面を借りてお詫びしておきたい。