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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第387回(卒業式式辞(2))

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大学入試だけではありません。これからの人生においても同じことが言えます。

人生では,失敗やつらい出来事,さらには不幸と思える出来事にも必ず遭遇します。八方ふさがりというような事態を経験するかもしれません。

いかなることが起きようとも,それは天の配剤であると考え,不足に思う心を納め,前に向かってチェインジとチャレンジ,変革と挑戦を重ねていくと,いつの間にか運命が開けてくるものです。宿命はどうしようもありませんが,運命は自らが切り開くものであるということをしっかりと心の中に留めておいていただきたいのです。

初代校長田中忠夫先生は第1期卒業生に次のように伝えています。内容の一部に少し難しい表現があります。その箇所は言い換えていますので,その点ご容赦ください。

「諸君の中には有名大学入学の喜びをもつ人もありましょう。或いは又入学に敗れる人のあることも覚悟しなければなりません。或いは家庭の都合上,直ちに社会に出る人もあるでありましょう。しかし諸君。諸君はすべて日本の高貴なる精神王国のプリンスであります。いかなる大学に学び,いかなる環境に身を置きましょうとも,知性と徳性の優れた選士として,その環境を高め照らす原動力となってくれることを期待しています。

又,諸君は将来,社会生活におきまして輝かしい成功をおさめるかもしれません。学者として技術者として,実業家,政治家として,或いは宗教家,社会改良家,人道の選士として日本の社会に名声を馳せ,世界に雄飛する一流の人物も必ず幾人か出るでありましょう。或いは名もなき市井の一市民として生を終える人も相当にあるでありましょうし,或いは不運にして事業に失敗する人が出るかも知れません。しかし諸君は日本精神界の王者であることに変わりありません。名声と地位に溺れてあたら徳性を汚し,人間的尊厳を冒涜するような愚を犯す人の一人も出ないことを信じます。いついかなる場所でも常に ―知性と徳性との光― 愛と光の使徒として本学園建学の精神に忠実ならんことを願ってやまないのであります。」と述べています。

運命を切り開くのに「愛と光の使徒」として前進せよと,わたしたち愛光学園に係わる者に力強く激励してくださっているのです。

本校の校名となっている愛光,愛は徳性を,光は知性を表しているので,愛光学園は徳性・知性学園とも呼ぶことができると申し上げました。徳性と知性のうち,最終的に人間の値打ちを決めるのは,徳性であることを忘れてはなりません。

徳性とは個々の心の遣い方にあります。肉体は個々の自由にはなりませんが,心は個々の自由に遣うことができるからです。人間の心の遣い方によってこの世の中を変えていくことができます。自由に遣える心を持つ人間が,心をどのように遣っていくのか,これこそが,徳性の問題であり,将来の地球の運命を決める,とてつもなく重要な事柄なのです。

これから皆さんが,どのような形で社会にかかわっていくかは,それぞれの夢やビジョンによって異なります。どの世界にチャレンジしても,地球という生命体の中で暮らしていることを念頭において,謙虚な気持ちになり,私利私欲のない無私の精神で新たなるチャレンジに向かうという姿勢を忘れないでください。

心の遣い方こそが地球の未来を決定すると申し上げて,卒業生の皆様への餞の言葉といたします。

最後に,高い所から誠に失礼とは存じますが,ご父母の皆様方に一言ご挨拶を申し上げます。

―― 挨拶省略 ――

 それでは55期生の皆さん,お別れです。愛光学園の卒業生として,聖ドミニコの理想,深い知性に裏づけされた信念と,清い人生観より生まれる高潔な徳性を兼ね備えた「愛と光の使徒」として世界に羽ばたいてくれることを期待し,それぞれの道での健闘と幸福を心よりお祈りいたします。

平成25年3月1日

愛光高等学校 校長 中村 道郎

 

今年度の「チュータのひとりごと」は今回で終了です。来年度は414()に開始する予定です。


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