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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(2) ・ 寮生と下宿

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 24期生から寮生の数が自宅生を上回るようになったと記憶している。部屋が不足したために,教員の控え室まで改造して生徒の部屋にしたものだった。そして高Ⅲになると,全員寮を出て下宿生活を送らねばならない時代があった。当時この下宿生の指導が大変であった。下宿が市内に点在していたため,担任と下宿指導の教員は,車や単車で下宿訪問をした。土曜日の夜に訪問すると,面談したい下宿生がいない下宿もあった。夜の町へと出かけていたのである。翌日事情を聞くと,「ネオンがぼくを呼んでいるんです。」と答えた。

 欠席をしている生徒を車で迎えに行ったこともある。風邪だということで,見舞いがてら訪問をしてみると,確かに布団に横になっている。下宿訪問のときには,いつも体温計を所持していたので,熱を計るよう指示をしておいて,部屋の中を観察していた。体温計を見てびっくりした。40度以上あるではないか。これは大変なことだと思って本人のほうを見ると,それほど苦しい様子でもない。頭に手を当ててみると,平熱である。おかしいなと思って,本人の顔を見ると笑っている。体温計を脇の下に入れて,こすったのである。当然のことだが,すぐに車に乗せて学校へ直行した。そんなこともあってか,わたしの車は,いつしか護送車と呼ばれるようになった。

 今や立派な高Ⅲ寮が出来て,寮を出る心配もなく,安心して学校生活を送ることができるようになった。しかも高Ⅲ寮はやる気さえあれば,午前2時まで明かりをつけることができる。

 恵まれた環境にいると,それに慣れっこになってしまって,過去の先輩たちの苦労は忘れ去られてしまう。自分たちが,先輩たちの積み重ねられた苦労の上にいるのだということを,時に思い出してみると,また新たにやる気を起こさねばという気持ちになりはしないだろうか。50年の伝統の重みとはそのようなことも言うのではないか。

2013年1月

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