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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(6)

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台風

 今年は,珍しく四国に上陸した台風はなかったと思う。台風上陸時に,本校生がどのように対応すべきかは,生徒手帳の21ページの「暴風警報時の休校について」という項目で,述べられている。

 実は,生徒には,別紙でもう少し詳細な連絡が次のように,伝えられている。

 「NHKの放送で,午前6:00から8:30分までの間に,中予地区に暴風警報が発令されている場合,休校になります。また午前6:00の時点で,警報が発令されている場合は,上記時間内に警報が解除された場合も,休校です。」

 島での生活で,この台風についての忘れられない体験があるので,先週に引き続いて紹介してみたい。

 瀬戸内海は波が穏やかで,海が荒れることはほとんどないと思っている人が多いのには驚かされる。しかし,台風がくるとなると,島の人たちは,一日がかりで,備えを怠らなかった。海側に面している出入り口や窓には,板をくぎで打ち付け,満潮時に上陸という情報がある場合は,一階の畳を全部上げて,海水につからないようにした。

 現在は,道幅も広くなり,波よけの設備もできたので,それほど心配する必要はないのだが,わたしの子供の頃には,家の前の4メートルの道路の先は,すぐ海であった。もちろん,波よけなどあろうはずがない。

 台風がくると,大きな波が岸に当たって,ドーンという体を揺さぶる轟音とともに,地響きを感じたものだった。そして,波が砕け散り,そのしぶきが,屋根瓦を洗うのである。しかも,それが何時間も繰り返される。翌朝起きてみると,道路が波でえぐられていることもあった。

 わたしは,台風接近という予報を聞くと,今でも,すぐ家の周りの片付けをし,雨戸をしっかりと閉め,暴風に備える。周りの者は,また始まったと笑っているが,この少年時代の恐怖とも言ってよい体験のせいか,じっとしていられないのである。

 昔から,怖いものの順番に,地震,雷,火事,オヤジが挙げられているが,わたしにとっては,これらのものより台風の方が,はるかに怖い存在として,記憶の中に鮮明に焼き付いている。


2013年1月

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