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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(10)

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 「チュータ」の由来

 昨年の「ひとりごと」は愛光での寮生活で終わったが,まだまだ寮生活について述べたいことはたくさんある。ただ,今回は,新年初の「ひとりごと」なので,よく質問される「チュータ」の由来や,エピソードについて少し紹介してみたい。

 チュータというニックネームは,わたしが教員になったばかりの4月に生徒がつけたものである。たしか中学2年生の女子生徒がつけたと記憶している。現在でもそうだが,わたしはどちらかというと,動き回るタイプの人間なので,こんなニックネームをもらったのであろう。ねずみのチュータということである。また中村の中を「ちゅー」と読むために,その後ろに「た」とつけて,「チュータ」と呼ぶようになったという話も聞いたことがある。

 赴任した当時のこの中学では,先生もお互いにニックネームで呼び合っていた。今でもよく覚えているのは,「ノミさん,ウマさん,カッパさん,チンタラさん,パチクリさん,ピーさん」などである。もちろん当時のわたしのような若い教員が,先輩教員をこう呼んでいたわけではない。

 生徒がわたしに用があるとき,職員室で「チュータ先生」と呼ぶことがよくある。他の先生方は,最初驚いていたようだが,今では全く当たり前になってしまった。先生の中にもそう呼ぶ人がいる。おそらく,本校の教員のニックネームの中で,オープンに呼べるものは,「チュータ」だけであろう。わたしは,このような誰もが親しみを持って呼べるニックネームをもらって,とても幸せだと思っている。

 ある時,生徒の母親から1通の手紙を受け取った。宛名に「中村忠太先生」と書いてあるのでびっくりした。郵便配達の人も迷ったのではないかと思うのだが,自宅の郵便受にちゃんと入れられていた。後日,「子供がいつもチュータ先生と呼んでいるものですから,てっきり本当のお名前だと思い,忠太先生と書いてしまいました。申し訳ございませんでした。」と丁重なお詫びの電話があった。

 30年前に教えた生徒も,昨年卒業した生徒も,出会った時には,「チュータ先生!」から会話が始まる。教員になっていてよかったなあと思う瞬間である。

2013年1月

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