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チュータのひとりごと

2001年2月アーカイブ

 合唱コンクール

 合唱コンクールの審査員になってほしいと,中1の学年主任である藤村浩一先生から依頼を受けた。

 わたしは演奏会とか様々な行事を企画するのは嫌いではない。しかし,審査は不向きだと思っているのでお断りしようと思ったが,他にも数名の審査をする先生がいると聞いて引き受けることにした。中1生の発表を聞いた後,次のようなことを思い出したので紹介したい。

 これまた前任校での話で恐縮だが,当時,高校の全クラスが半日かけて合唱コンクールを行っていた。ある時高等部長から,司会者のいない合唱コンクールはできないものかと相談を持ちかけられた。難しい注文だと思いながら,いろいろ思いをめぐらした結果あるアイディアが浮かんだ。

 それは,OHP(オーバーヘッドプロジェクター)を利用するものであった。舞台の後ろと両袖にパネルで反響板を作り,その両袖の反響板にそれぞれ斜めにパネルのスクリーンを取り付け,そこに2台のOHPを用いてクラスや曲名を映し出すのである。高等部長に話すとそれはおもしろいということになり,体育館の中に舞台と反響板を作ることになった。出来上がった舞台をみて驚いた。ちょっとした劇場である。技術や美術の先生方が精魂こめて作り上げた傑作であった。

 舞台は整ったが,果たして自分の考えたアイディアが,生徒や教員に感動を与えうるかどうか不安であった。

 生徒の代表を集め,解説を加えなくとも,皆が一目でわかるOHPのシートを作成してもらいたいとOHP用シートとオイルペンを渡した。

 出来上がったOHPのシートを見て感心した。生徒の中には素晴らしい能力を持った者がたくさんいる。歌のタイトルだけでなく,その歌に合った絵が見事に描かれている。このOHPのシートを見て,合唱コンクールは必ず成功すると確信した。

 いよいよ司会者のいない合唱コンクールが始まった。左右のOHPが交互にまた同時にクラス紹介や曲の紹介をする。OHPを操作する生徒は,映写のタイミングを何度も練習していたため,見事な連携で次々にシートを映し出すのである。聴衆は色彩豊かなOHPシートを見て,次にどのクラスがどんな内容の曲を歌うのか瞬時に理解できた。

 すべての発表が終わり,初の司会者のいない合唱コンクールに多くの生徒が喜んでくれた。そして,高等部長の満足そうな顔を見て,係の生徒と共に握手をして感動を分かち合ったことをつい昨日の出来事のように覚えている。

  つづく
携帯電話

 先日私用で高松に出かけることになった。自家用車にしようかと思ったが,途中で居眠り運転をすると危ないと思い,眠っても安心な特急列車で行くことにした。

 わたしはタバコを吸わないので,禁煙車に乗り込んだ。次の駅で30歳代後半と思われる女性が乗り込んできた。通路をはさんで反対側の席にかけようとした時,彼女は隣の男性に「タバコをお吸いになりますか。」と訊ねた。するとその男性は「この車両は禁煙車ですから吸ってはいけないはずですよ。」と丁寧に応対した。その女性はタバコの煙が苦手であると伝えて,その男性の横に腰をかけた。

 西条駅の手前であったろうか,気持ちよく居眠りをしていると,突然の携帯電話の音で目が覚めた。若い女性が,呼び出し音が鳴っている携帯電話を手にして車両のデッキに出て行く姿が目に入った。当然の行為ではあるが,気持ちのよいマナーだと思って感心をしていた。しばらくすると,今度は初老の婦人の携帯電話が鳴った。この婦人は短い会話になるということを予測してであろうか,席に座ったまま話を続けた。電話を切るやいなや,婦人の夫と思われる男性が,携帯電話は車内で使用してはいけないとその婦人に注意を与えた。婦人は短い用件だからと言い訳をしていたように聞こえた。

 次にわたしの少し前の席に座っていた中年の男性が携帯電話で何か連絡を取り始めた。かなり長い間しゃべっていたが,デッキに出て行く気配はない。

 不思議なもので,大きな声でしゃべっている2人の会話はそれほど気にならないのだが,携帯電話でしゃべっている声は気になる。わたしの意識の問題かとも思うのだが,車内放送で携帯電話はデッキで使用するようにとあれだけたびたび注意しているのだから,わたしの意識の問題だけであるとも言えないのではないか。

 そうこうしていると,驚いたことに,今度はタバコのことを訊ねた女性が携帯電話で話をし始めたのである。タバコを吸うことを遠慮してほしいと願う人間が,何度も繰り返される放送にもかかわらず,人に迷惑をかける携帯電話をなぜ平気で使用するのか,わたしには理解できなかった。

 最近,われわれの生活の中で他人への「思いやり」を持つ人間が少なくなり,自分に「思いをくれ」という人間が増えているとよく言われる。その一つの現象を見たような気がした。

 またこのことは決してひとごとではなく,日頃のわたしたちの生活態度も再点検せねばならない機会を与えられたのだと自らに言い聞かせて高松駅に降り立った。

教務のひとりごと(13)

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 寮内指導(?)

 わたしのクラスの寮生で,寮の学習時間中によく寝る生徒がいた。それも机でうつらうつらする程度ではなく,堂々と(?)ベッドで寝ているのである。寮の訪問に行ったときには,必ずその生徒の部屋をのぞくことにしていた。彼は前半の学習時間には,いつも寝ていたように記憶している。ある時彼の部屋を訪問してみると,やはり相も変わらずベッドで寝ていた。彼が学習時間中に寝ないですむ何か良い方法はないものかと思いながら,とにかく彼を起こすことにした。その時,ある考えが浮かんだ。

 それは,彼の目覚まし時計を9時に合わせて,彼を起こすことである。そしておもむろに,「おいI君,起きろ。もう9時になっているぞ。君が遅いので,ぼくが学校から迎えにきたんだ。早く起きて学校に行く用意をしなさい。」と声をかけた。すると,I君は,目を覚ますやいなや,時計を見て9時であることに気づき,慌てて学生服に着替え始めた。今思うとここで,「冗談だよ。」というべきだったのだが,その時はその言葉が出なかった。学生服を着ると,今度は時間割を見てカバンに教科書を入れ始めた。そして部屋から外へ飛び出したが,外は真っ暗で,彼は初めてそこで朝ではないことに気づいたのである。

 このI君を何とかして学習時間中に寝ないようにしたいという気持ちが強かったことは事実であるが,わたしの行為は明らかに途中から行き過ぎになってしまった。I君が,このことでわたしを責めることなく,軽く流してくれたことに今でも感謝している。

 生徒の指導は,教師がどういう思いで指導したかということも重要ではあるが,それをどう生徒が受け止めたかが,さらに重要なポイントになると思う。教師がいくらよい指導だと思っても,受け取る生徒が自分のためにそうしてくれているのだと思わなければ,それは適切な指導とは言えない。そこに大きな影響を及ぼすのが,生徒と教師の毎日の触れ合いから生まれる信頼関係ということになるのであろう。

 最後に,I君は,このことがあって後,学習時間中に寝ることが少なくなったことを付け加えておきたい。

2013年1月

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