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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(13)

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 寮内指導(?)

 わたしのクラスの寮生で,寮の学習時間中によく寝る生徒がいた。それも机でうつらうつらする程度ではなく,堂々と(?)ベッドで寝ているのである。寮の訪問に行ったときには,必ずその生徒の部屋をのぞくことにしていた。彼は前半の学習時間には,いつも寝ていたように記憶している。ある時彼の部屋を訪問してみると,やはり相も変わらずベッドで寝ていた。彼が学習時間中に寝ないですむ何か良い方法はないものかと思いながら,とにかく彼を起こすことにした。その時,ある考えが浮かんだ。

 それは,彼の目覚まし時計を9時に合わせて,彼を起こすことである。そしておもむろに,「おいI君,起きろ。もう9時になっているぞ。君が遅いので,ぼくが学校から迎えにきたんだ。早く起きて学校に行く用意をしなさい。」と声をかけた。すると,I君は,目を覚ますやいなや,時計を見て9時であることに気づき,慌てて学生服に着替え始めた。今思うとここで,「冗談だよ。」というべきだったのだが,その時はその言葉が出なかった。学生服を着ると,今度は時間割を見てカバンに教科書を入れ始めた。そして部屋から外へ飛び出したが,外は真っ暗で,彼は初めてそこで朝ではないことに気づいたのである。

 このI君を何とかして学習時間中に寝ないようにしたいという気持ちが強かったことは事実であるが,わたしの行為は明らかに途中から行き過ぎになってしまった。I君が,このことでわたしを責めることなく,軽く流してくれたことに今でも感謝している。

 生徒の指導は,教師がどういう思いで指導したかということも重要ではあるが,それをどう生徒が受け止めたかが,さらに重要なポイントになると思う。教師がいくらよい指導だと思っても,受け取る生徒が自分のためにそうしてくれているのだと思わなければ,それは適切な指導とは言えない。そこに大きな影響を及ぼすのが,生徒と教師の毎日の触れ合いから生まれる信頼関係ということになるのであろう。

 最後に,I君は,このことがあって後,学習時間中に寝ることが少なくなったことを付け加えておきたい。

2013年1月

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