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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(14) ・ ファミリーエコー

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携帯電話

 先日私用で高松に出かけることになった。自家用車にしようかと思ったが,途中で居眠り運転をすると危ないと思い,眠っても安心な特急列車で行くことにした。

 わたしはタバコを吸わないので,禁煙車に乗り込んだ。次の駅で30歳代後半と思われる女性が乗り込んできた。通路をはさんで反対側の席にかけようとした時,彼女は隣の男性に「タバコをお吸いになりますか。」と訊ねた。するとその男性は「この車両は禁煙車ですから吸ってはいけないはずですよ。」と丁寧に応対した。その女性はタバコの煙が苦手であると伝えて,その男性の横に腰をかけた。

 西条駅の手前であったろうか,気持ちよく居眠りをしていると,突然の携帯電話の音で目が覚めた。若い女性が,呼び出し音が鳴っている携帯電話を手にして車両のデッキに出て行く姿が目に入った。当然の行為ではあるが,気持ちのよいマナーだと思って感心をしていた。しばらくすると,今度は初老の婦人の携帯電話が鳴った。この婦人は短い会話になるということを予測してであろうか,席に座ったまま話を続けた。電話を切るやいなや,婦人の夫と思われる男性が,携帯電話は車内で使用してはいけないとその婦人に注意を与えた。婦人は短い用件だからと言い訳をしていたように聞こえた。

 次にわたしの少し前の席に座っていた中年の男性が携帯電話で何か連絡を取り始めた。かなり長い間しゃべっていたが,デッキに出て行く気配はない。

 不思議なもので,大きな声でしゃべっている2人の会話はそれほど気にならないのだが,携帯電話でしゃべっている声は気になる。わたしの意識の問題かとも思うのだが,車内放送で携帯電話はデッキで使用するようにとあれだけたびたび注意しているのだから,わたしの意識の問題だけであるとも言えないのではないか。

 そうこうしていると,驚いたことに,今度はタバコのことを訊ねた女性が携帯電話で話をし始めたのである。タバコを吸うことを遠慮してほしいと願う人間が,何度も繰り返される放送にもかかわらず,人に迷惑をかける携帯電話をなぜ平気で使用するのか,わたしには理解できなかった。

 最近,われわれの生活の中で他人への「思いやり」を持つ人間が少なくなり,自分に「思いをくれ」という人間が増えているとよく言われる。その一つの現象を見たような気がした。

 またこのことは決してひとごとではなく,日頃のわたしたちの生活態度も再点検せねばならない機会を与えられたのだと自らに言い聞かせて高松駅に降り立った。

2013年1月

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