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チュータのひとりごと

2001年3月アーカイブ

個人面談(2)

 教師の喜びの一つは,生徒の輝く顔を見ることである。話をしているうちに,顔が次第に明るくなれば,この面談は成功したと言ってよいだろう。しかし,いつもこのように面談がうまくいくわけではない。面談の後,何となく気まずい雰囲気になり,その日に面談をしなければよかったと思うときさえある。

 しかし,たとえ疲労感しか残らない面談だったとしても,面談をしたら,先生が自分のために時間を割いてくれたという事実は生徒の心に残る。だから,この面談が生徒との信頼関係を築く第一歩になることは間違いないと信じて,次回の面談を楽しみにとっておく。この気持ちさえ忘れなければ,面談は続くものである。

 面談では,一方的に助言を与えるだけでなく,教師の側が生徒から教えられることも数多くある。教師という職業は若者の価値観に直接触れることのできる数少ない仕事である。生徒の多様な価値観と自分の価値観を突き合わせて,譲るべきところは譲ることがあっても,主張すべきところはきちんと主張する。双方の価値観のぶつかりあいによって生まれる価値観の隔たりやギャップを少しずつ埋め,生徒との人間関係を深めていく。そのようなことが教師という仕事をやりがいのある仕事にしているのかもしれない。


 今年度の教務のひとりごとはこれをもって最終回とさせていただきます。また新年度の4月15日(日)から日曜ごとに発信します。教務日誌は3月17日(土)を今年度の最終日とし,新年度は4月8日(日)から開始の予定です。
 個人面談

 クラス担任は生徒との個人面談を1年間に生徒一人につき最低3回は行うことになっている。寮生の面談は寮で,自宅生の面談は昼休みや放課後の時間を利用して学校で行うのだが,授業をした後に行う面談は担任にとってかなりきついものがある。しかし,面談は学級運営のためにとても大切なものなので,担任は進んで寮に出かけるし,また学校で行う面談にも力が入る。

 その面談の中で,中学生から次のような質問を受けたことがある。それはどのようにして友人を作ったらよいかというものであった。友人が少ないことに悩んでいるこの生徒に,わたしは次のような話をした。

 ある商人の店が倒産寸前になった。そこで商人は経営の神様と言われる人に助言を求めたところ,たった一言「物はみな低いところに集まるのですよ。」と諭されたという。これを聞いた商人は,店に帰ると,早速使用人と一緒に朝の掃除をしたり,夕方も使用人が帰るまで店に残るなど,自分の心を低くし,謙虚にすることを心がけた。すると不思議なことに店の経営は持ち直し,その後店は素晴らしい発展を遂げたという話である。

 この話をした後,大きめの問題集を斜めにして,その上を鉛筆をころがして見せた。当然鉛筆は高いところから低いところへと落ちる。これを何度か繰り返すと鉛筆が同じところに何本も集まる。集まった鉛筆を指さしながら,まだこれだけではよく納得できていない生徒に向かって更に次のように付け加えた。

 物だけでなく,人も,実は低いところへ低いところへと集まってくるのではないだろうか。周りを見渡してみて,友人の多い人を観察してみると,彼らは偉そうな振舞をしていないことが分かるであろう。だから,自分に友人が少ないと思う時は,自分が偉ぶっていないか考えてみてはどうかと述べた。またじっと待っていても向こうから友人が近づいてくれるケースは少ないから,謙虚な心で自分のほうから積極的に人に話し掛けていくとよいと助言した。

 この瞬間緊張して聴いていた生徒の顔がほころんだ。

つづく

教務のひとりごと(16)

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 合唱コンクール(2)

 愛光の教員になってから,まもなく24年になろうとしているが,わたしは一度だけ中1(41期生)の学年主任をしたことがある。この時もう一度このような形式の合唱コンクールをやってみたいと思った。舞台はドミニカンセンターである。OHPは2台あるが,スクリーンが1枚足りない。レンタルショップで借りて何とか間に合わせることができた。前任校の施設と比べると舞台は狭いが,発表の場所としては申し分ない。OHPのシートもクラスの代表に依頼して準備ができた。司会者のいない形を取ろうかと思ったが,この時は生徒の意見を入れて,学年の代表者に少ししゃべってもらうことにした。男子校であるから,混声四部合唱は無理なことではあるが,立派な男声2部合唱であった。

 合唱をすることの楽しさは,力いっぱい歌ってみて初めて分かることである。わたしは生徒たちに合唱することから得られる感動を体験してほしかった。共に声を出し,声を合わせて一つの作品を作り上げる。そこから得られる感動は何物にも変えがたいものであることは経験した者でないと分からない。

 行事教育は感動の教育と言えるのではないか。どのようにすれば生徒が感動するのかということを真剣に考えた行事こそが,将来にわたって継続する行事になると思う。

 わたしは今年の中1生の発表を聞きながら自然に涙が出てきた。生徒がピアノを弾き,タクトを真剣に振り,またタクトを振る指揮者を発表者全員が真剣に見つめ,一生懸命に合唱する。中1生諸君の多くが,大きな感動を味わったことであろうが,この中1生の姿に,わたしのほうも心うたれてしまった。

 ちなみに愛光中学で合唱コンクールを初めて行ったのは,31期生が中2の時で,企画は,芳野敬三教頭であったと聞いている。

2013年1月

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