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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(22) ・ 中間考査前日の中学部トマス寮

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経営の神様

 以前「教務のひとりごと(17)」で「ものがみな低いところに集まる」という話をしたが,実はもう一つわたしには考えさせられた次のような話がある。

 ある経営者が,「経営はどのようにするとうまくいくのでしょうか。」と訊ねたときに,「高く仕入れて安く売りなさい。」とアドバイスを受けた。この経営者は自分の耳を疑った。それもそのはず,高く仕入れて安く売ったのではもうけが少ないからである。そこで,もう一度聞き直したが,答えは同じであった。

 理由はこうである。物を高く仕入れると,生産者が喜ぶ。そして安く売れば消費者が喜ぶ。その両者の喜びが経営者の経営をうまく成り立たせるというのである。

 わたしは経営のことはよく分からないので,このことが本当に経営をうまく成り立たせる秘訣になるのかどうかは確信がもてない。

 ただ「高く仕入れて安く売る」という言葉を聞いたときに,わたしはこれを生徒と教師と父母の関係に置き換えて考えた。

 生徒の力を高く評価し,教師の労働力を安く売る,すなわち教師は生徒のために労を惜しまず仕事をするということになるだろうか。教師が生徒の能力を高く評価し,骨身を惜しまず指導することによって生徒がやる気を出し,生徒が努力する姿を見て教師と父母が喜ぶ。この教育の三位一体となる「親と子と先生」のやる気や喜び,そして信頼感が,教育をより充実したものにするのではないかと思えたのである。

2013年1月

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