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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(25)

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 教え子からのファックス
 
 先日アメリカからわたし宛にファックスが届いた。およそ25年前に英語を受け持った教え子からのものであった。

 驚いたことに,ニューヨークのアパートで愛光のホームページにアクセスし,25年前のことをなつかしく思い出して送ったというのである。

 実は,このファックスをくれた2名の女性は,2月の「教務のひとりごと」に合唱コンクールの思い出を書いたが,その時のOHP(オーバーヘッドプロジェクター)の係を担当してくれた生徒であった。

 彼女たちは合唱コンクールのことをもっと詳しく覚えていて,自分たちが制限された時間の中で,どれだけ苦労をしてOHPを操作したかという話を紹介してくれた。

 その苦労話とはこうである。

 各クラスの発表が終わり,全員合唱でコンクールのプログラムを終了することになった。その時,用意された全クラスのすべてのOHPのシートを順番に左右のスクリーンに映し出したのである。ところが全員合唱が終わる直前に最後のシートを映さねばならない。1枚のシートを何秒映すと最後のシートが合唱の時間内にうまく収まるのか,まさしく時間との勝負であったとのことである。またシートを入れ替える時,指がスクリーンに映らないようにするのも一苦労であったようだ。

 この全シートを映すという考えは,生徒たちの発案であった。それで,二人はこのことを鮮明に覚えていたのであろう。

 もしこれがわたしから出たものであれば,二人はこのように詳しくは記憶していなかったのではないだろうか。

 学年目標に,「自ら考える」という標語がよく用いられる。一方的に与えられたものよりも生徒たちの中から湧き出てくる知恵によるほうが,生徒の力になることは間違いないし,また記憶にも残りやすいことは誰にも容易に理解できることである。

 ただ上記の例で,もし合唱コンクールが行われなかったとしたら,またOHPを使用していなければ,全シートを映し出すなどということを,生徒が思いつくはずはないというのも事実である。

 ここに「自ら考える」のヒントがあるような気がする。                            

つづく

 

2013年1月

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