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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(37)

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  初めて出会うもの

 興居島(ごごしま)には,小学校が2校ある。由良小学校と泊小学校である。中学になると,この2校の生徒が合流し,興居島中学へと進学する。

 わたしは由良小学校に入学したのだが,入学してまもなく音楽に悩まされることになった。それは音符を読めなかったからである。おたまじゃくしが五線紙の上で踊っているのが全く理解できなかった。音楽はわたしにとって異次元の世界の出来事であったようだ。

 戦後の食べる物にも事欠く時代に生まれたためもあって,そもそも音楽に親しむなどという余裕は全くなかったと言ってよい。

 当時は,夏は海で泳ぎ,冬は山に入って暖房の燃料となる「松かさ」を拾い集めるのが日課であった。あとは毎日釣りざおをもって岸壁に座り,釣糸を垂れる。スポーツはソフトボールのみであったような気がする。このような環境の中で音楽という全く経験のない世界にとまどいを覚えたことは容易に理解してもらえるだろう。

 生徒が英語に初めて接するとき,わたしが小学1年生のときに音楽に対して抱いた気持ちと同じ気持ちを持つのではないかと思うこともあって,新しい文法事項を教えるとき,わたしは教授法を慎重にしている。

 生徒の顔は正直である。理解できれば,顔に笑みが浮かぶが,理解できないといつまでも渋い顔をしている。教室全体に笑みが浮かぶまで,手を変え品を変え説明を続ける。こうして,教師は説明のよりよい方法を生徒を通して学ぶのである。それが経験の差という形になって表れる。年齢とともに教え方がうまくなるのではない。生徒が理解できたときに浮かべる笑みを感じ取ろうと,常に工夫する経験の積み重ねが,うまい教え方となるのであろう。

 最近中学生を教えることが多くなったためか,このことを強く意識する毎日である。

高校部中庭にクレーン車登場!工事に用いられた機材を中庭から撤収しています。

 

2013年1月

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