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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(41) ・ 寮(中2/中3) ・ 中庭 ・ 同窓会(17期生)

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  挨拶

 これも興居島(ごごしま)での話である。

 どういう理由で始めたのかはよくわからないのだが,わたしは小学5年生から中学2年生まで,新聞配達と乳酸菌飲料の配達をしていた。家が理髪店だったので商売のことに多少の興味があったのかもしれない。

 毎朝(当時,休刊日はなかった),始発の船が朝6時に港に着くのを待って配達を始める。島内の二つの地域(由良,門田)がわたしの担当区域であった。最初は自転車で配達をしていたが,弟も配達をすることになり,一台しかない自転車を弟に譲ったため,わたしは徒歩で島内を駆け巡った。

 特に冬の寒い朝は,「こりゃー,たまらんなー。」と思いながらも,何とか4年間続けることができた。

 徒歩で新聞配達をすると,配達に時間を要するため,当然のことであるが,島民に出会う機会が多くなる。そうすると,お互いに朝の挨拶を交わすようになる。この挨拶が何とも言えないほど気持ちのよいものであった。

 また,朝の挨拶だけではなく,「小さいのにえらいのー。」とか,「挨拶ができて感心じゃのー。」と声をかけられると,ついうれしくなったものである。

 この4年間の朝の体験が,わたしの挨拶の習慣を形作ったように思われる。挨拶は自分の日常生活から自然に学んだものである。そして,声をかけることがどれだけ相手の心を和ませるかということも,この島での経験から学んだことである。

 声をかけられることを待っている生徒がいることを教師は忘れてはならない。

 タイミングよくかけられた声と,適切な言葉がどれだけ生徒の気持ちを救うことになるかということを頭で理解できていても,いざとなると,なかなかうまくいくものではない。しかし,声をかけているうちに,うまく生徒の心をつかめたと思う時が何度か出てくる。この経験を積み重ねることによって適切な時に適切な言葉をかけることができるようになるのである。

 それには生徒とじかに接触する機会が多ければ多いほど良いということは,言うまでもないことであろう。



 進学主任の一色康孝先生(理科)は17期の卒業です。

 

2013年1月

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