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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(60)

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德永浩人君を偲んで

 わたしが住んでいるところは,学校から約2.5km離れた古三津である。毎日車で通勤しているが,朝は生徒の登校時刻よりもかなり早いし,帰りも生徒の下校時刻より遅いため,途中,めったに生徒に出会うことはない。

 4月下旬か,5月上旬のある朝,中央通りから,新田高校前の伊予鉄道の踏み切りへと通じている市道へ出たところで,本校の中1生が徒歩で学校に向かっている姿が目にとまった。徒歩でこの道を利用している生徒がいることを,それまでは全く知らなかった。

 早足で急いでいる様子だったので,車を停めて,「急いでいるのであれば,車に乗せてってあげるよ。」と声をかけた。その中1生は,わたしが愛光の教員だということに気付いたようであったが,「大丈夫です。」と答えて元気に道を歩き始めた。

その彼が德永君であったということは,クラス写真と通夜の席で眠っているような安らかな顔を見て,分かった。この世でたった一度しか,話す機会を持てなかった彼を前にして,わたしは手を握り,思わず「頑張れよ。」という言葉をかけてしまった。このような状況になって,何を頑張れと言うのか,と後で自問したが,「浩人は,愛光50期生,200名の守り神となって頑張ってくれると思います。」というお母様の言葉を聞いた時,「頑張れよ。」でよかったのだと思い直した。  

  

 事故の現場に行ってみて,あぜんとした。なぜこのようなところで,交通事故が起こるのかと思われる場所である。報道にもあったとおり,確かに三叉路ではある。しかし,道路が狭いため,車がスピードを出せるようなところではない。

 ガードレールが大きく曲がり,それを支えていた鉄柱とコンクリートのブロックが側溝に落ちていた。車は考えらないようなスピードで德永君を跳ね飛ばしたのだということを容易に想像させる事故の痕跡である。

 どのように,また,いくら考えても無念の思いはつきない。仲間を失った悔しさをわれわれは決して忘れることはないだろう。ただ,今となっては,浩人君が守り神となって愛光を見つめてくれることを願うばかりである。



2013年1月

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