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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(80) ・ 学研マーク模試(高2)

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音楽の思い出

 わたしが小学生の頃に,ピアノのある家庭はほとんどなかったのではないだろうか。少なくとも当時の興居島に住んでいる人たちの家庭には,1台もなかったと思う。

 小学校に入学したわたしの音楽の成績は,5段階の「2」であった。それは,歌は歌えるのだが,音符が読めなかったからである。両親がこの成績を嘆いていたのを未だに記憶しているので,当時の自分にとって,相当に印象深い出来事であったと言えよう。

 この「2」の評定がきっかけで,音楽に対するイメージが相当悪かったのであるが,曲を聴いたり,歌ったりするのはそれほど嫌いというわけではなかった。それは,小学6年生の時に新聞配達で得たお金で,ステレオを購入したことからも分かっていただけるであろう。

 中学に入学した時,担任の先生が女性の音楽の先生で,どういうわけか,ブラスバンド部に入部するよう言われた。音符が読めなかった自分がまさかブラスバンド部に所属するとは想像もしたことがなかったが,この担任のS先生のお蔭で,音楽と少しかかわりを持つことができるようになった。

 わたしが担当した楽器はアルトサクソフォンであった。当時の楽器であるから,まともな楽器はほとんどなかったが,このサクソフォンも例外ではなかった。タバコを吸う先生に息を吹き込んでもらったところ,閉じた弁のすべてから煙が漏れるので驚いたことをはっきり記憶している。それでも,部費がないので修理をせずに演奏していたのだから,いい音など出るわけがない。しかし,空気が漏れるおかげで,肺活量だけはかなり上昇し,当時,2分間くらい息を止めることは,造作ないことであった。

 演奏した曲目は,ほとんど行進曲であった。運動会に演奏するのが主な発表の場所で,開始から終了まで,行進曲はすべてわれわれのブラスバンドで担当した。音楽のS先生の誇らしげな顔を見て,われわれ部員もうれしくなり,一日中懸命に演奏した。

   つづく


2013年1月

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