英語小テスト
生徒たちに英語の学習を毎日休みなく続けてもらうために,英語科では,さまざまな工夫を重ねてきた。その中で生まれたのが,卒業生にはなつかしい『英単総』(英語単語熟語の総合的研究・旺文社)と暗唱文例集の『モデルセンテンス500』である。
この単語集(現在は『英単語ターゲット』・旺文社)と暗唱文例集を用いて,毎時間小テストを繰り返しており,これが生徒たちの英語力をつける大きな原動力となっている。
単語集は市販されているものを使用しているが,暗唱文例集『モデルセンテンス500』はすでに退職されたK先生が中心になって,愛光の英語科が作成,改訂してきた。わたしが愛光に赴任したときには,すでに暗唱文例集は使用されており,授業の最初に,その日の範囲の英文を指名された生徒が口頭で発表していた。
わたしは,口頭で発表するだけでは,せっかくの文例集がもったいないと思い,暗唱文の一部を穴あきにして,そこに英文を書き込む形を試してみたことがある。現在では,*中3以上の全学年で,口頭で与えられる日本語を聞いて,全文を英語で書く形で続けられている。(*中3のみ市販の暗唱文例集を使用している。)
中3で単語テストと暗唱文のテストを始めるときには,単語の学習と文例集の暗唱で1日2時間かかるという話を聞いたことがあるが,高3にもなると,ほとんどの生徒が休憩時間の10分間で充分に対応できるようになる。この頃になると,毎日繰り返すことの大切さが生徒にも教師にも理解できている。
つづく
合唱コンクールc組の動画
d組の動画
卒業生の胸に光る赤いバラのリボン
卒業式が2月1日(土)に終わってから,早くも2週間が過ぎた。高3生はまもなく国立大学の2次試験を受験する時期になり,すでに私立大学の入試は始まっている。
彼らが3年間あるいは6年間,本校で学んだ力を遺憾なく発揮することを切に願っている。
今日は,卒業生が卒業式の時に胸のポケットにさしていたバラのリボンについて,そのきっかけとなった出来事について触れてみたい。
わたしが担任として高3卒業生を送り出したのは,23期生が最初であった。その時は無我夢中で,何も考える余裕などなかった。
29期生であったと記憶しているのだが,高3卒業生を送り出すのに,何か担任としてできることはないだろうかと思案する中で,黒の学生服のポケットに白いハンカチを入れてはどうかということを思いついた。
ところがクラスの生徒全員のハンカチを注文すると,担任が生徒にプレゼントするには少々高価なものになることが分かった。デパートの中をできるだけ安いハンカチを求めて歩いていると,店員がこれはどうかと差し出してくれたハンカチを見て驚いた。上の部分のみハンカチで下は紙でできている胸ポケット用のハンカチであった。これをクラスの生徒の人数分購入し,卒業式当日に生徒にプレゼントした。最初のうち,ハンカチを胸に入れることを恥ずかしがる生徒もいたが,クラスの生徒全員がポケットに白いハンカチを入れ,式場に入場する姿を見て心から誇らしく思えた。
当時は若いこともあって,自分のクラスのことしか考える余裕がなかった。ところが,あることがきっかけで,S先生がこのことを職員会議の議題として取り上げてくれた。このような企画?を学年全体に広げてはどうか,また,ハンカチではインパクトが弱いので,バラのリボンにしてはどうかということで,現在の赤いバラのリボンに決まったのである。わたしは卒業生に対するクラス担任のお祝いの気持ちを,ささやかなプレゼントで表したいと思っていたのだが,よく考えてみると,自分のクラスだけがそのようなことをするというのも,確かに問題があると思ったので,好意を喜んで受ける気持ちになった。
毎年,卒業生が胸のポケットにさした赤いバラのリボンを見ると,その昔,ポケットにハンカチを入れて入場した生徒たちのことがなつかしく思い出されるのである。
センター試験(3) 先週の続きです。
また,29期生を教えたときに,次のような思い出話がある。
英語のimagine という単語には形容詞形が三つある。imaginary(想像上の), imaginative(想像力に富んだ), imaginable(想像できる) である。わたしは,これがセンター試験(当時は共通一次試験)に出題されると予想をし,生徒に伝えた。ところが,その年の一次試験には,この問題は出題されず予想は外れてしまった。来年は必ず出題されると生徒たちに負け惜しみを言ったが,心の中では当たらないのが当然であると思っていた。ところが,その年の東京大学の2次試験が終わった直後に,ある生徒が,「先生,出ました。」と興奮した声で電話をかけてきた。何が出たのかと思って聞いてみると,imagine の形容詞形の imaginary が出題されたとのことであった。
生徒たちの英語学習は大変だとは思うが,日本のどの大学のどのような問題にも十分に対応できる力を6年間,あるいは3年間かけて養うよう努力を重ねることしか大学合格の道はないのである。そのお手伝いをさせてもらうのが教師の役目であると思って日々教壇に立っている。
なお,後日,興味があったので,どのような問題であったかを調べてみたところ,与えられている数個の単語(動詞)のいずれかを形容詞形に変えて( )内に記入する問題であった。
問題文: Ghosts and fairies are ( ) ―― that is, they exist only in the minds of people.
imagine という動詞が選択肢の中にあり,これを選んで形容詞形を書けばよいのである。ここでは,「想像上の,架空の」という意味の imaginary が正解となる。
センタ-試験(2) 先週の続きです。
発音問題を教える時には,さらに工夫を必要とする。
例えば,heard と heart の earは,全く同じ綴りであるのに発音が異なる。heard の場合は,work,bird などの単語と同じ発音になるが,heart の場合は park や car などの単語と同じ発音になる。わたしはこれを「心は広く」と教える。それは口を「広く」開けて,のどの奥から声を出すからである。「人間の心は広いほうが良いからね。」と言うと,次の機会にこの単語の発音について尋ねたときに,すぐに「心は広く」と生徒から声が返ってくる。
発音については,この他にも数多くの工夫をして生徒たちに教えている。最初のうち笑っている生徒も,いつしか「チュータ式記憶法?」に慣れてくれるようである。もちろん,実際に発音の練習を繰り返さねば,意味のないことになってしまうが。
大学入試問題の長文に,学校で使用した問題集や自分が選んだ英文から出題されたら,これくらいうれしい事はない。しかし,実際にそのようなことがあったのだろうか。
わたしの愛光での教師歴25年の中で,生徒が授業で学習した英語の長文が,大学入試の2次試験に出題されたと報告を受けたのは,わずかに2問である。1問は国立大学で,1問は私立大学で出題された。
発音・アクセント問題は予想した問題が的中することがよくあるのだが,英語の長文は学校で学習したものが,そのまま出題されることは先ずないと言ってよいであろう。
つづく