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チュータのひとりごと

2004年1月アーカイブ

受験(2)

次に高3生を担任した時に,地区別懇談会の席でこの話をご父母にした。もちろん,たとえ話として話したのであって,そのようにしなければならないというつもりは全くなかった。

懇談会が終わって,父親の一人が,わたしのところにやってきて,「先生,わたしはとてもじゃないですが,子どもが受験だからといって,酒を断つことはできません。」と言った。わたしは,酒やタバコを断ってほしいとか,テレビを見るのを止めてほしいと言ったのではなく,ただ親としてそのような関わり方もあるという例として述べたことをその父親に伝えた。すると,この父親は,「何か考えてみます。」と付け加えた。この生徒も難関大学の医学部に現役で合格した。

受験に関わる親は,子どもに何も援助してやれないことをよく知っている。しかし,そこはやはり親である。何か関わってやれるのではないかと考えることは当然のことであろう。わたしは,その気遣いが大切なことではないかと思っている。結果的に何もできなかったとしても,家族の受験生に対する心遣いは伝わるものである。

何かを願うとき,断食をしたり,好きなことを断つという行為はよく耳にすることである。これが聞き届けられたのではないかと思える話もよく聞く。科学的には何の根拠もないことと言ってしまえばそれまでであるが,このような目に見えない気遣いから,人間関係が少しずつ良い方向に変わってくるのではないかとわたしには思えるのである。
受験(1)

昨年の大晦日に,両親のいる興居島(ごごしま)で元旦を迎える準備を済ませて自宅に帰ると,家族が「紅白歌合戦」を見ていた。わたしも一緒になってテレビを見ていたが,前半が終わり,その後10分間のニュースを見ているときに,ふと高3生はどうしているのだろうと思いながら,書斎に入った。

わたしには,最近の歌はよく分からないものが多いのだが,どの歌手も自分の最も良いところを出そうと懸命に歌っていることは,テレビでも十分に伝わってくる。おそらく,この日,声を最高の状態で出せるよう入念に準備して,本番に臨んだことであろう。

高3生は,1月17日(土)と18日(日)の二日間で行われるセンター試験の学習のために,テレビ番組を見る余裕はなかったはずである。

歌手が最高の声の状態を保つのに努力をするのは,受験生がセンター試験に万全の備えをするのと全く同じことである。高3生は,最高の状態で受験できるよう,大晦日や正月の三が日も休まず学習を続けたに違いない。

わたしが担任をした学年の母親だったと記憶しているが,地区別懇談会の席で,「わたしは息子が高3になって受験勉強を始めてから,息子の学習時間中はテレビ番組を見ないことにしました。」と語った。家族の一員として何かをしたいと思う気持ちが強かったのだと思う。

そのようなことは,子どもの学習には関係ないことだと片付けてしまうのも,一つの考え方ではあるが,わたしはその時,家族の愛情のようなものを感じた。実力もあり,また,うまくその母親の気持ちも伝わったのであろう。その生徒は現役で難関大学に合格した。

   つづく
アナウンス(2)

この声の衰えを思案しているうちに,あることに気がついた。それは,慣れてしまって,これでよいと思ったときには,そこで進歩が止まってしまう,いや,それどころか,後退をし始めるということである。教師の授業や,各部署の仕事もそうであろうし,また,生徒の学習も同じではないかと思ったのである。心しておかなければならないことと思っている。

自分が納得できる声にもどるかどうか自信はないが,口の体操を再び始めた。少なくとも,言葉を口から発する時に,できるだけ,詰まったり,言い直したりすることがないように心がけようと思っている。また,言葉を聞いた生徒たちが,はっきりと理解できるように,発音や声量だけでなく,言葉遣いにも配慮できるようにしなければいけないと感じ始めた。

アナウンサーの話が出たついでに,述べておきたいことがある。それは,関西出身の人たちがアナウンサーを目指すとき,東京出身の人たちと比べると明らかにハンディがあることである。それはアクセントの問題で,標準語なるものが,東京方言に基準を置いているために,標準アクセントを習得するのにかなりの時間を要する。それに母音の無声化や長音,鼻濁音などは明らかに東京出身の人たちに有利になっている。ほとんどの東京出身の人たちが子どもの頃に自然に習得しているからである。

一例を挙げると,無声子音にはさまれる「い」や「う」の音は無声化する。「北」という言葉の母音「い」という音,「口」と言う言葉の母音「う」は発音されないのである。また,「えい」という発音は「えー」となるので,「丁寧」という言葉は,「てーねー」と発音される。これを長音という。東京方言がテンポよく聞こえるのは,おそらく,このような理由によるのではないだろうか。この無声化の影響は,「新宿」という言葉の発音にも見られる。東京出身の人は「しんじく」と発音しているはずである。

そのほかにも,アナウンスをするときに,注意しなければならないことが数多くあるが,今回はこれくらいにしておきたい。

2013年1月

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