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チュータのひとりごと

2007年10月アーカイブ

 人間力(2)

以前,「ひとりごと」でも述べたことであるが,面談などを通じて生徒と話しをしているときに, こちらの思いがそのまま伝わったという表情を生徒が見せることがある。この表情になる瞬間を,それぞれの生徒の「感動点」 だとわたしは考えている。この感動点を突き破ると,生徒は動き出すという経験を何度か味わった。もちろん, 個々の生徒によって感動点のレベルが違うので,どこまでいけば動き出すのかは分からないが,間違いなく生徒が動きはじめる瞬間がある。 そこまで根気強く,生徒を導くことができるかどうか,これはまさしく教師や親の人間力にかかっている。

話を元にもどして,人が動くのは感動したときであると直感的に思ったのは,上記の経験があったからだと思う。 このように考えてくると人を感動させることのできる人が人間力のある人となる。

人を感動させる人物には,どのような資質が必要とされるのであろうか。あたり前のことをあたり前にやっていては, 人の心を動かすことはできない。自分の都合は横において,相手に合わせて心を遣う。つまり他人を心から思いやることのできる 「まことのこころ」,つまり,「誠実さ」が必要不可欠な資質であると思われる。

このように考えてくると,結局,人間力とは誠実さということになると,自分の頭の中で整理できたような気がした。

しかし,この人間力という言葉を最初に使った人は, なぜこのような分かりにくい言葉を使わなければならなかったのだろうか。

誠実さに欠ける人間が増えてきたと感じているからなのか,あるいは, 誠実さだけでは言い表せないもっと強い意味を伝えようとしているからなのか,よくは分からないが, この人間力という言葉が市民権を持つかどうかは, この言葉が持つ力がわたしたちを感動させるかどうかにかかっているとわたしは考えている。

おわり
 人間力(1)

今年の体育大会のテーマは「人間力」であった。この人間力という言葉を初めて耳にしたとき, どのように捉えたらよいのか迷ってしまった。どこかで聞いた覚えはあるのだが,自分の頭の中の辞書には, この人間力という言葉がなかったのである。

手元にある三省堂の国語辞典は,「人間」を「他の人間と共になんらかのかかわりを持ちながら社会を構成し, なにほどかの寄与をすることが期待されるものとしての人」と定義している。

では,「力」は辞書ではどのように定義されているのであろうか。同じ辞書で調べてみると,「人や物や社会を, 直接作用して動かしたり変化させたりする根源的なもの」とあった。

「人間」と「力」の定義を合わせてみると,「人間力」とは, 「他の人間と共になんらかのかかわりを持ちながら社会を構成し,なにほどかの寄与をすることが期待されるものとしての人を, 直接作用して動かしたり変化させたりする根源的なもの」と定義づけることができる。

そこで,わたしは体育大会で,「人間力」を,話す自分にも,生徒たちにも分かりやすいようにとの思いから, 「人を動かす力」という言い方をした。

しかし,「人を動かす力」と言っても,聞く側はまだ漠然としていて分かりにくいと思ったので, 人が動くのはどのようなときかと考えてみた。わたしの心に浮かんだのは,教員と生徒とのかかわりにおいて,生徒が心を動かすときとは, 生徒が教員の言動に心から感動したときではないかということであった。

つづく
第55回体育大会(3)

 

競技が終わり表彰式を終えた後,大会の講評を行った。その講評を次のように述べた。

人間力のある,つまり人を感動させる演技,競技を見せてもらいました。

学校には,文化祭・体育大会をはじめ,様々な行事がありますが,行事教育は感動の教育であります。

今日は,行事の持つ行事力と皆さんの持つ人間力が,いっしょになって, さらに大きな感動が生まれたのだと思います。

さて,高3生のみなさん,愛光生活最後の体育大会,燃えましたか。 燃え尽きて灰になってしまったという言葉を聞きましたが,まだ灰になってはいけません。明日から燃えなければならないのは,受験です。 受験は今日の体育大会と同様,団体競技と言えます。織田学年主任を中心にティームを組み, 素晴らしいティームワークでもって受験に臨むことを期待しています。

ご父母の皆様,本日は終日,ご声援をありがとうございました。親と子と先生, これを教育の三位一体と言いますが,今後もご子女の教育のためにご尽力いただけることをお願いいたしまして,講評といたします。

ここに記してはいないが,実際の講評では, 「男女共学開始の50期生が入学した年の第50回体育大会の最初の競技は中1女子100メートル走であった。 8人の女子生徒が初めて本校のグラウンドを駆け抜けた。その日,わたしはチュータ日誌を担当していたこともあって, 1日中カメラを持って走りまわった。最初の種目,女子100メートル走のスタート時に, 震えながらカメラのシャッターボタンを押したことを今でもはっきりと覚えている。」ということを話した。

この話に触れたとき,思わずその時に感動したことを思い出し,涙が出てきてしまった。声が詰まったので, しばらく話を止めた。歳のせいか,涙もろくなってしまったようである。

今年の体育大会の感動は,この5年前の感動と等しい,いやそれを超えていた。 高3生をはじめとする生徒たちの素晴らしい人間力に感謝し,拍手をおくりたい。

おわり
 第55回体育大会(2)


予定を1日延期し,9月18日(火)に体育大会を実施した。わたしは開会式で次のような挨拶をした。

 今年の体育大会のテーマ「人間力」をもう少し分かりやすく言うと,「人を動かす力」だとわたしは思います。 それでは人が動くのは,どのようなときでしょうか。

人が動くのは心から感動したときだと思います。ということは,人を感動させることのできる人が, 人間力のある人だということになります。

それでは,今日の体育大会で人間力のある人,つまり人を感動させる人とはどのような人でしょうか。それは, 自分のため,クラスのため,また学年のためベストを尽くして真剣にプレイする人です。そのような真剣なプレイが今日一日, いたることころで目にとまることを願っています。

ご父母の皆様,朝早くからご苦労様です。天候のこととは言え,一日延期をしましたこと,お詫びいたします。

今日は生徒たちの人間力あふれる真剣なプレイに存分の拍手を送っていただきたいと思います。

生徒の皆さん,皆さんが目指すは世界的教養人,教養人らしい真剣なプレイを期待して簡単ではありますが, 開会の挨拶といたします。

 

開会式を終え,準備体操が終わると,いよいよプログラムの順に,競技や演技が始まった。

 どの競技でも真剣に走り,プレイし,そして,それを懸命に応援する生徒の姿を見て, 男女共学完成の年にふさわしい体育大会だと心から感動した。正に生徒たちの人間力を目の当たりにした。

つづく

2013年1月

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