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チュータのひとりごと

チュータのひとりごと 第195回 人間力

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 人間力(2)

以前,「ひとりごと」でも述べたことであるが,面談などを通じて生徒と話しをしているときに, こちらの思いがそのまま伝わったという表情を生徒が見せることがある。この表情になる瞬間を,それぞれの生徒の「感動点」 だとわたしは考えている。この感動点を突き破ると,生徒は動き出すという経験を何度か味わった。もちろん, 個々の生徒によって感動点のレベルが違うので,どこまでいけば動き出すのかは分からないが,間違いなく生徒が動きはじめる瞬間がある。 そこまで根気強く,生徒を導くことができるかどうか,これはまさしく教師や親の人間力にかかっている。

話を元にもどして,人が動くのは感動したときであると直感的に思ったのは,上記の経験があったからだと思う。 このように考えてくると人を感動させることのできる人が人間力のある人となる。

人を感動させる人物には,どのような資質が必要とされるのであろうか。あたり前のことをあたり前にやっていては, 人の心を動かすことはできない。自分の都合は横において,相手に合わせて心を遣う。つまり他人を心から思いやることのできる 「まことのこころ」,つまり,「誠実さ」が必要不可欠な資質であると思われる。

このように考えてくると,結局,人間力とは誠実さということになると,自分の頭の中で整理できたような気がした。

しかし,この人間力という言葉を最初に使った人は, なぜこのような分かりにくい言葉を使わなければならなかったのだろうか。

誠実さに欠ける人間が増えてきたと感じているからなのか,あるいは, 誠実さだけでは言い表せないもっと強い意味を伝えようとしているからなのか,よくは分からないが, この人間力という言葉が市民権を持つかどうかは, この言葉が持つ力がわたしたちを感動させるかどうかにかかっているとわたしは考えている。

おわり

2013年1月

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