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チュータのひとりごと

チュータのひとりごと 第206回

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勇んで仕事と向かい合えるとき

(この原稿は以前に同窓会の依頼を受けて作成したものを一部書き換えたものです。)

 

わたしは, 人は生活を共有する周りの人たちの喜びを,自らの喜びにする傾向があると感じている。

毎年5月末に中1の集団宿泊研修を, 「国立大洲青少年交流の家」で実施することにしている。いつの年だったか,この研修のプログラムの中の「カヌー研修」において, ある生徒の時計が河原で紛失するという出来事があった。

この時, 引率教員と生徒の友人も一緒になって探したが,見つからなかった。帰りの時間がやってきたため,探すのをやめてバスに乗り, 宿舎に帰ったが,わたしは生徒が時計をなくしたことを聞いていたので,宿舎にもどってからも気になっていた。

後で分かったのだが, 車で出かけていた教員が,この話を聞いて,河原に向かい,1時間以上かけてあたりが暗くなるまで探してくれていた。しかし, それでも見つからなかったのである。

結局, 見つけることができないまま,松山へ帰ることになった。この研修は日曜日を途中にはさんでいたため,研修の翌日が代休であった。 この代休の日に別の二人の教員が,それぞれの思いから,大洲へと出かけていた。大洲まで高速道路を利用すれば, 1時間半くらいで到着するのだが,紛失した時計を何とか探してやりたいという思いを持って出かけてくれたのである。わたしは, この3人の教員がなぜ,そこまでして時計を探したかということを考えてみた。それは, おそらく時計が見つかった時の生徒の喜ぶ姿を思い浮かべたからであろう。

この気持ちが天に通じたのだと思うが, 時計は他のグループの人が,河原で見つけてくださり,「青少年の家」に届けてくれていた。

人は他人の喜ぶ姿が先に見えたとき, 勇んで仕事に立ち向かっているようにわたしには思える。

わたしが,5年半, 「チュータ日誌」を続けることができたのも,ご父母や同窓生の皆様の喜ぶ顔がディスプレイの奥に思い浮かんだからであろう。 人が人の喜ぶ姿を見て共に喜ぶ,これこそ,最高の喜びであろうと思う。わたしはこの喜びを5年半味わうことができたことを, 教師生活における最高の思い出だと,とても幸せに感じている。

「人の喜ぶ姿を先に見る」, これが仕事に勇んで立ち向かう秘訣の一つではないかと思っている。

2013年1月

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